第1回 多摩

開催概要

日時:
2021年11月19日(金)15:00~17:30
会場:
オンライン開催
定員:
30名
対象:
企業、就労支援機関、精神科医療機関、行政機関など、精神・発達障害者の就労をサポートする全てのみなさま

プログラム

15:00~15:10 開会あいさつ
NPO法人全国精神保健職親会 理事長 中川 均
15:10~15:50 実践報告① 「障害者雇用をスタートしてみて」
自然派くらぶ生協 事務理事 山本 眞一郎 氏
15:50~16:30 実践報告② 「就労支援機関は何をしてくれるのか」
障害者就業・生活支援センターTALANT センター長 野路 和之 氏
16:30~17:10 グループディスカッション 「わが社の障害者雇用をどうするのか」
17:10~17:25 閉会あいさつ
有限会社まるみ 取締役社長 NPO法人全国精神保健職親会 理事 三鴨 岐子

  • 有限会社まるみ 取締役社長 NPO法人全国精神保健職親会 理事 三鴨 岐子・NPO法人全国精神保健職親会 理事長 中川 均
  • 自然派くらぶ生協 事務理事 山本 眞一郎 氏
  • 第1回多摩ワークショップPDF

事例発表:自然派くらぶ生協 事務理事 山本 眞一郎 氏

レポート:NPO法人全国精神保健職親会 理事長 中川 均

 本イベントは、障害者就労・生活支援センターTALANTの企業交流会との合同企画で、コロナ禍の中、WEBでの開催となった。オンライン参加者25名と配信会場との間で熱い議論がなされ次回展開への布石となった。

1.事例報告とパネルディスカッション

 ディスカッション進行 有限会社まるみ 取締役社長 NPO法人全国精神保健職親会 理事 三鴨 岐子
 報告① 「障害者雇用をスタートしてみて」 自然派くらぶ生協 専務理事 山本 眞一郎 氏
 報告② 「就労支援機関は何をしてくれるのか」 障害者就業・生活支援センターTALANT センター長 野路 和之 氏

 上記の2例を中心に障害者雇用を進める中での企業の経営者としての課題と、その解決のための支援機関との関わりについて、パネルディスカッションを実施した。

 障害者雇用を進めるもっとも高いハードルとは何か?という問いに山本氏の率直な発言が印象的であった。
すなわち「なぜ配慮の必要な障害者と賃金が同じなのか?」、この疑問には簡単な答えは無いだろう、ただ一つ言えることは障害者が長く働き続けられる職場は誰にとっても安心な職場である、ということではないだろうか?

 日本はこれから数十年は深刻な人手不足となる、確かにIot(internet on things)が進むことによるプロセスの自動化は進むであろうが、
同社のような食に関わる仕事は必ずエッセンシャルワーカーが必要とされるプロセスがあるはずである。
障害者を事業のバリューチェーンの一画に受け入れるということは逆説的には、従来のプロセスが変化することを受容する、ということを意味する。
同社の事例からは、障害者雇用が変化を受容する企業(職場)体質を育成する効果となっていることが見てとれ、必ずや成長を継続する企業になることを予感させる。

 TALANTは多摩地区では有力な障害者就労支援機関であり、企業との伴走経験から得たノウハウを活用し障害者就労・生活支援センターを受託・運営している。
障害者就労支援とは当事者が望む「働きたい」を企業経営者とともに実現していく、支援付きの就労から始まり企業に定着していくプロセスそのものであることが同社の実績から読み取れる。
東大先端科学技術研究センター熊谷晋一朗氏の「自立とは依存先を増やすこと」との言葉がある通り、一人で頑張ることでは断じてないことを支援を続けながら当事者に気づかせ、周りの人たちの理解を進めることなのかもしれない。
同社の支援と企業経営者とのやり取りからそのような感想を筆者は持った。

2.グループ討議

 オンライン参加者と会場スタッフを加えた25名がグループに別れ、活発な討議が行われた。

参加者の中からは「障害者を現場に配置しようとすると反発が心配」などの本音を語ってくれた人事担当者の方がいた。その方に筆者から「なぜ経営者に相談しないの?」という問いに対しては「?」という反応であった。恐らくそんなことは考えもしなかったのかもしれないが、そもそも障害者雇用とは経営者に与えられた宿題であり、その達成努力は経営マターであるはずなのになぜかそうなっていない。当法人の立場は障害者雇用こそ経営者自ら取り組むべき課題である、という認識である。さらなる啓発の必要性を強く感じられたグループ討議であった。